2008年02月27日

生き延びた者の記憶

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クリスチャン・ボルタンスキーの父親はユダヤ系で母親はキリスト教徒だった。父親はナチ占領下のパリ、妻と喧嘩をして家出したふりをして、家の床下の小さな空間で一年間を過ごした。現在でも一人で外出することはない。解放後まもなく生まれたボルタンスキー自身も戦後18歳まで一人で外を歩いたことはなかった。家族は必ず同じ部屋に寝ていた。
ボルタンスキーは幼少期、病的なほど無口で、いつも部屋の片隅にじっとしていた。学校へ行ってもすぐ抜け出してしまい、先生が町を探し回る。やがて知能障害と判断され特殊学級へ入る。
今では「陽気なおじさん」として会う人から評されるボルタンスキーであるが、作品は幼少期に家族で共有した決定的な外部への恐怖によって支配されている。記憶と忘却をめぐる問いを、忘却に抗うことよりも、記憶の不可能性に立脚して見るものに提示していく。
ひとつだけ永遠に続いていくものがあるとすれば、それは言葉で伝えられる物語だけだと思います。だから私はむしろ、何年か先にあの作品がなくなってしまった後に、ある種のうわさが残ることのほうが重要だと思います。昔ここにパリのアーティストの心臓が転がっていて、夜な夜な鼓動が聞こえてきた、とね「芸術新潮」2007年1月号インタビュー

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posted by ysms at 00:42| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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