2011年02月28日

翻訳について

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わたしはあることを報告しようと試みる。ふとわたしは黙りこむ。そのとたん、わたしは自分がまだ全く何もいっていないことに気づく。ある驚くほど明るい、粘つく実体がわたしの内部に残留して、言葉を嘲笑する。それは、かの地でわたしに理解できなかった言語、これから徐々にわたしの内部で翻訳されなければならぬ言語であろうか?そこには、われわれの内部において初めて意味が生ずるような、さまざまの出来事や光景や音があった。それらは言葉によっては拾いあげられることも刈り込まれることもなかった。それらは言葉の域を越え、言葉よりも深みがあって複雑である。

カネッティ『マラケシュの声』


posted by ysms at 13:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 01 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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